思っていたよりはるかに深刻。
ケースワーカーとして生活保護の最前線にいた著者が、自らの経験と詳細なデータをもとに、若者や高齢者、そして子どもに広がる「現代の貧困」の実態に迫ります。
2007年7月、福岡県北九州市で一人の男性が「おにぎりが食べたい」と書き残して孤独死した事件をきっかけに、生活保護に対する議論が白熱しました。
マスコミは行政の「水際作戦」とも呼ばれる受給申請者への厳格な対応を激しく非難しましたが、この問題はそのような単純な構図では推し測ることのできない問題であることが、本書によって明らかにされています。
こうした「生活保護=悪」という単純化された図式がさらにそのイメージを増幅させ、社会をよりいっそう貧困の連鎖に追いやっていくということを、私たちも理解しておかなければなりません。
この問題の解決方法として、著者は必ずしも具体的な回答を用意しているわけではありませんが、「生活保護を『入りやすく、出やすい制度へ』と改革していくことが必要だ」という主張には大いに説得力があります。
つまり、生活保護制度を「より多くの利用者に、より高い質の自立を提供する」ものに変えていくことが必要だということであり、そうすることによって事態が好転するということも確かにあるでしょう。
ただ、「そのために何をどう進めていけばいいか」ということについては、それほど多くのページが割かれておらず、やや抽象的な感は否めません。
問題提起としては非常に良い書であると思います。
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